宮城県気仙沼港の遠洋まぐろ延縄漁船 勝栄丸 (SHOEIMARU) のブログです。勝倉漁業株式会社が運営する勝栄丸ブログでは、まぐろを取り巻く世界情勢や国内の動き、地域の情報などについてお知らせ致します。

2017年06月19日

三陸新報「論説」 太平洋クロマグロ 適切な資源管理を


いま問題となっている日本近海などでの北太平洋クロマグロの資源管理。 勝栄丸ブログでも何度となくお伝えしてきました。 昨日の記事の中でもこの問題にふれたばかり。 もう少しお付き合いください タイ

先日気仙沼魚市場に巻き網船によるクロマグロの水揚げがあって、その様子を視察しに行ってきました。 その時にお会いした三陸新報の記者さんに太平洋クロマグロがおかれている状況について短時間ではありましたがお話しする機会があり、「論説」として掲載されたので全文をご紹介したいと思います 花丸

【 太平洋クロマグロ 適切な資源管理を 】

資源の減少が懸念されている太平洋クロマグロ(本マグロ)。 気仙沼港に先日、大量の水揚げがあったが、こうした光景もいずれ見られなくなるのではという危機感をぬぐえない。 2014年現在の親魚量は歴史的最低水準に近く、漁業が無かったとした場合の資源量のわずか2.6%という。 国は国際合意に基づき、漁獲枠を設けて資源管理を行っているが、ここから回復させるには相当の努力が必要だろう。 特にメジマグロと呼ばれる30㌔未満の小型魚の過剰漁獲が問題だ。 現管理機関(16年7月~17年6月)はすでに上限の4007㌧を突破した。 超過分は次期管理機関の枠から差し引かれる仕組みとはいえ、国際合意は守れなかった。

現行制度では上限に近づくと特別警報、操業自粛要請が出されるが、漁業者の自主的な取組による。 18年からはTAC(漁獲可能量)制度が導入され、操業停止命令などに背いた場合には罰則が適用される。 漁獲量がより厳しく管理されることになるが、漁業は農業とは違い、とりたくなくてもとってしまうケースがある。 延縄にかかり、定置網に入ってしまうのだ。 漁獲上限に近づいた際、釣り針にかかったマグロを生きたまま逃がすのは難しい。 定置網なら放すことも可能だが、泳ぎを止めれば死んでしまう魚だ。 そう容易ではない。 年間を通して漁獲量が少ないクロマグロのために休漁したのでは、影響が大きすぎる。 TACの導入が漁獲抑制につながるのだろうか。 それより現場が混乱するのではという懸念を強く感じる。

そもそも小型魚を年間4007㌧もとることに、疑問の声がある。 大西洋クロマグロの資源回復に取り組んだ実績のある市内の漁業関係者は「とりすぎだ。限りなくゼロに近づけるべき」と指摘。 「われわれにできたのだから、できないはずがない」と話す。 さらに親魚も産卵期や、産卵場の漁獲規制が必要だと訴える。 太平洋クロマグロと同様に資源減少が叫ばれているのが、気仙沼港に欠かせないカツオ。 日本国内では熱帯域での海外巻き網による過剰漁獲を問題視している。 マグロの国際合意を守れない一方で、海外巻き網の規制を訴える。 これでは筋が通らず、カツオの保護にもつながらない。 クロマグロの漁獲規制をさらに強めれば漁業者が反発するのは必至だが、国はしっかりと調整すべきだろう。 将来を見据え、今は我慢の時だと思う。

三陸新報の論説に書いてあることはまさにその通り。 付け加えれば、初期資源の7%まで資源回復させようっていう今の「暫定目標」ではなく、世界標準の20%レベルへの回復目標に変更する事。 そして小型魚については、狙って獲ることをやめるべき。 小型魚漁獲枠の大幅削減とともに、延縄や定置網などの「受け身」「待ち」の漁業への配慮もそこには必要でしょうね。 それと遊漁規制もそろそろ導入する時期に来ていると感じます。 いずれにせよ、とてもよくまとめられた「論説」だと思いご紹介しました 船
  

Posted by 勝倉漁業株式会社 at 09:13