宮城県気仙沼港の遠洋まぐろ延縄漁船 勝栄丸 (SHOEIMARU) のブログです。勝倉漁業株式会社が運営する勝栄丸ブログでは、まぐろを取り巻く世界情勢や国内の動き、地域の情報などについてお知らせ致します。

2016年12月07日

豪州蓄養漁業に厳格な資源管理を

豪州蓄養漁業に厳格な資源管理を
遠洋かつお・まぐろ漁業をおこなう若手経営者で組織する団体「全国鰹鮪近代化促進協議会(促進会)」の通常総会が先日東京で行われ、緊急動議として提案された豪州蓄養漁業への厳格な資源管理導入等を求める決議案を採択したことは勝栄丸ブログでも先日お伝えしました タイ

この決議文は要望書にまとめられ、水産庁の黒萩漁業調整課長、山下日かつ漁協組合長、そして総会や懇親会に出席した国会議員の先生方へ提出されました。 ここに全文を掲載いたします マイク

豪州蓄養漁業をめぐる問題の解決に向けて、これからも促進会の活動に期待しています 船


【豪州蓄養漁業に対する厳格な漁獲管理導入等に関する決議】

  本年10月、台湾において開催されたミナミマグロ保存委員会(CCSBT)年次会合において、2018年からの3年間におけるミナミマグロの総漁獲可能量を毎年17,647トン(うち日本6,165トン)とすることが合意されました。かつて大きく配分を減らしたわが国の割当量が回復されたことは、わが国政府ならびに関係団体等の尽力の賜物であり、厚く御礼申し上げます。

  今回の会合でミナミマグロの増枠合意がなされたCCSBTですが、いまだ問題が山積しています。ミナミマグロ漁獲枠の最大の割当国である豪州は、既にCCSBTにおいて同国が約束した蓄養漁業へのステレオ・ビデオカメラの導入をいまだ実現しておらず、そのため豪州蓄養漁業によるミナミマグロ漁獲量の正確な把握がなされていません。また、豪州蓄養漁業の漁獲証明制度(CDS)データの利用・解析が行えず、短期間の蓄養で重量が倍以上に増えているなど、過大な増肉係数と過剰漁獲への疑惑が払拭されない状況が続いています。

  加えて、豪州で行われている遊漁によるミナミマグロの漁獲も全く管理されていない状況にあり、豪州のこうした資源管理への不誠実な対応は全く許されるものではなく、このままの状況が続けば、CCSBTの資源管理の信頼性を損なうことに繋がりかねません。

  また近年、CCSBTをはじめとする地域漁業管理機関(RFMOs)において、環境保護団体の暗躍もあり、海鳥の混獲問題が過大に取り上げられており、このまま諸対策をこまねいていては遠洋まぐろ延縄漁業の存続さえも危ぶまれる状況に繋がりかねません。よって、わが国として抜本的な対策が急務と考えます。ついては、下記対策が早急に講じられるよう、わが国政府および関係団体へ強く要望します。

1. 豪州蓄養漁業へのステレオ・ビデオカメラの導入が早期に実行されるよう、関係国および関係機関と連携・協力し、豪州に対しての交渉・圧力を強力に推し進めること。

2. 豪州蓄養漁業による過剰漁獲疑惑追及のため、豪州蓄養漁業によるCDSデータの利用を強力に求めていくとともに、過大な増肉係数の実態把握と科学的な論証をおこなうこと。

3. 豪州国内の遊漁によるミナミマグロの漁獲実態について、在外公館などの協力を得て情報収集するとともに、民間の調査機関等による調査を行うこと。

4. 上記1~3が実現されるまでの間、生産履歴がはっきりしない、かつCCSBTの資源評価の信頼性を失わせしめている豪州産ミナミマグロのわが国への輸入を制限すること。

5. 海鳥問題について、効果のある新たな混獲回避技術の開発を進めるとともに、その実施試験や機器導入についての公的な補助制度を創設すること。  以上。


Posted by 勝倉漁業株式会社 at 08:03

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