2018年09月09日
太平洋クロマグロの日本提案合意ならず
9月に入ってだんだんと秋めいてくると同時に、気仙沼を基地にして操業しているカツオ船の漁模様も少なくなってきて、水揚げ量が100トンを切る日が多くなってきました。 夏場の漁から様変わりです
カツオの群れを求めて沖合へ。 北海道沖の遠い海域で小ぶりなビンチョウが釣れているので、航続距離の長い中型船はビンチョウ狙いにシフト。 近海は群れは見えるものの餌付きが悪く苦戦とのこと
サンマ船はロシア海域での漁が低調のため公海へと漁場を移したとの情報で、そこそこの漁があったようで週明けの水揚げとなりそうですが、気仙沼港への入港予定はまだなく、カツオにサンマにとこれからの漁模様に期待と不安の週末。 夜明け前からのカツオの水揚中、朝焼けがすごくきれいでした
今週、福岡でおこなわれた中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の北小委員会。 業界注目のこの会合での最大の議題は日本近海などに回遊する太平洋クロマグロの漁獲枠について。 資源悪化によって厳しい漁獲規制と管理措置が取られているクロマグロの漁獲上限を決める重要な会議です
繁殖能力のある親魚資源量が最低水準だった2010年の12,000トンから2016年には21,000トンになったとの資源評価により、日本は漁獲枠の15%UPなどを提案。 初期資源量が2.6%から3.3%になって資源が回復傾向にある事から、漁獲量の増枠を求めて会合に臨んだ日本代表団でしたが・・・
WCPFCでの合意は全会一致が条件。 コンセンサスでの決定という事で、1カ国でも反対に回ると決まらないルール。 資源回復傾向にあるとは言っても、いまだ資源量が低水準であるという事には変わりはなく、十分に回復していないとする米国などの反対によって日本提案は合意とならなかった模様
現在の日本の漁獲枠は30㎏未満の小型クロマグロが4007トン、大型魚が4882トン。 日本各地で混乱が生じているクロマグロ漁をめぐる問題。 巻き網漁船や定置網、釣りや延縄など、漁業種や隻数も多く管理するのがすごく難しいと思うけど、国内漁業の調整をより良い方向に進めてほしいと思います
クロマグロの資源回復には、未成熟の小型魚と産卵期の大型魚の漁獲を抑制する(獲らない)ことが望ましく、これは大西洋クロマグロでの資源量V字回復の成功例を見ても明らか。 資源回復に向けての漁獲規制と漁業活動の維持・継続の両立、すごく難しい命題に取組んでいかなければなりませんね
Posted by 勝倉漁業株式会社 at 09:41