宮城県気仙沼港の遠洋まぐろ延縄漁船 勝栄丸 (SHOEIMARU) のブログです。勝倉漁業株式会社が運営する勝栄丸ブログでは、まぐろを取り巻く世界情勢や国内の動き、地域の情報などについてお知らせ致します。

2017年06月01日

太平洋クロマグロがずらり


初夏のような気候となってきた気仙沼です。 巻き網運搬船による生鮮かつおの水揚げも断続的で、カツオが揚がったと思えばこんどはびんちょうと、なかなか本格的なカツオシーズンになってきません 船

近海かつお一本釣り漁船はほとんどがびんちょう狙い。 千葉県勝浦港を中心に連日まとまった量の水揚げが行われ、冷凍処理されて缶詰用の加工向けに国内外に出荷されていく模様 いかり

そんな状況の中、気仙沼港に巻き網運搬船「第11大師丸」が入港となって、今話題の太平洋クロマグロを160本も水揚げするとの事なので、どんなマグロなのか見定めに足を運んできました icon12

比較的大型のクロマグロが市場内にずらり。 平均目廻りは約100㎏くらいかな。 160本の予定が揚げてみたら210本ほどもあって、巻網み漁獲時の正確な数量把握がいかに難しいかがわかります ブック


時期的に産卵前後とみられるマグロが混在していて、どうしてもこの時期のマグロは脂ののりがイマイチとの買受人の評価。 痩せたマグロもかなり混じっていて、卸売価格も1118円/㎏とひかえめ。 これが出荷先でどのような評価を受けるのか、築地市場などのセリ状況をチェックしてみたいと思います タイ

先日の新聞記事で、大中型まき網漁船による太平洋クロマグロの30㎏未満の小型魚について、水産庁は漁獲上限を現行の2000トンから500トン削減し、うち250トンは大型魚の枠に振り替えて、残りの250トンは突発的に獲れ過ぎた場合の調整に回す「留保枠」とすることを決定し発表した模様 新聞

日本近海で漁獲される太平洋クロマグロの産卵資源量は、かつての2.6%レベルの低水準まで悪化していると言われており、その管理強化が不可避な状況にあります。 今回発表された小型魚規制の変更にとどまることなく、もう一歩も二歩も踏み込んで、未成熟クロマグロの漁獲を限りなくゼロに近づけるような抜本的な規制強化が必要なんだろうと思いますね。 加えて、産卵期間や産卵場での漁獲制限にも踏み込んでいく必要があります。 いま設定されている回復目標値は初期資源量の7%水準と、あくまでも「暫定」の回復目標です。 世界的には20%水準まで回復させようっていうのがスタンダードな考え方。 「暫定」目標値があまりにも低すぎるんだと思います。 モラトリアムやワシントン条約提案などに至るような最悪な事態に陥る前に、日本主導でのしっかりした管理強化を強い指導力をもって進めてほしいです icon08

巻き網漁船によるクロマグロの水揚げを視察しながら、太平洋クロマグロ全体の資源管理を考えるいい時間でもありました。 20,000隻以上といわれる関係船の調整が難しいというのは言訳でしかなく、要はやるかやらないかの瀬戸際に来ているって事。 天然資源を増やしながら有効利用していく為にはいま何をしなければならないのか、漁業界全体で考えていかなければならない時ではないでしょうか face06
  

Posted by 勝倉漁業株式会社 at 09:18